シーズン3

第6話「悪霊払い」STORIES WE TELL OUR YOUNG

9歳の少年ダニエルが教会で悪霊払い中に凶暴になり、神父が死亡、神学校生が負傷するという事件が起きる。父親によれば、息子は1年前から豹変して暴力を振るったり悪態をつくようなったらしい。外見も変わると聞いたニックは、ヴェッセンではないかと疑うが、両親は普通人らしいため混乱する…。

グラオゼン

グラオゼンは、ヴェッセンではなく、「あるウィルスから感染した病気の症状」を指す。発作が出ると皮膚に筋が浮き出て顔の表情も悪魔のようになり、たいへん凶暴になって殺人に発展することもある。ヴェッセンたちの間では遥か昔からあらゆる世代に 語り継がれている話で、昔は子供に取りついたヴェッセンの霊だと思われていた。ヴェッセンにもグリムにもこの症状は見られず、取りつかれるのは人間(ヴェッセンの言葉でケアザイタ)の子供のみとされる。医学や科学の発達によって、近年では新しい見解も出てきており、有力な説は“突然変異”だった。グラオゼンは大人になるまで放置しておくと恐ろしいサイコパスに成長してしまう。歴史的にこのようなサイコパスの罪はヴェッセンが着せられてきたため、この件についてはヴェッセン評議会が対処しており、評議会は王家とグリムと三者で話し合い、1682年に“ヴィッテンベルク憲章”を成立させた。その法律では子供がグラオゼンの疑いがあるだけで評議会に通報が義務付けられている。もしも通報しなかった場合には評議会より死刑宣告がなされる。グリムの記録にも、1520年、1683年、1741年、1804年、とグラオゼンが登場しており、グリム一族もグラオゼンはヴェッセンだと思っていた。しかし1920年のグリムの記録で初めて、グラオゼンはヴェッセンではなく、形態も感染経路も不明の病気ではないかとの記述が登場する。これにより現代のグリム、ニック・ブルクハルトは、「グラオゼンとは、人間に寄生した単細胞性の真核生物デーモニ・アズピツィオによる症状である。人間の体温が生存条件であり、低体温状態になればグラオゼンは生存不可能になる」という結論を持つに至った。

ヴェッセンの子供

両親共にヴェッセンなら子供もヴェッセン、片方がヴェッセンでもう一方がケアザイタ(人間)なら半々の確率でヴェッセンが生まれる。ただしケアザイタがゲーントレーガーなら100%ヴェッセンとなる。両親が違う種類のヴェッセン同士ならその場合はフォーアヘルシャが生まれる。

フィリクトロイアー

ドイツ語で“忠誠なる者”を意味する。白ヒョウに似たヴェッセン。ヴォーガすると目は黄緑色に輝き、歯は鋭くとがる。口元と顎には白い髭も生える。また体には黒ぶち模様の白い毛皮があらわれる。非常に行動が素早く、追跡に難儀する。頭は良く、恐れ知らず。また忠誠心に溢れる。そのためヴェッセン評議会で難しい汚れ仕事を引き受けることが多い。主にヴェッセン評議会に所属し、評議会が関与する案件について行動する。

フントイェガー

フントイェガーについてはシーズン1第18話「レジスタンス」を参照。

「イヌイット神話」『信じるのではない。ただ畏れるのみ』

トルナイト(トルナック、などとも呼ばれる)はイヌイット(カナダ北部などの氷雪地帯に住む先住民族のエスキモー系諸民族の1つ)の神話・伝説に現れる悪霊で、動物に変身して、いたずらをすると言われている。“姿がみえずに襲ってくる悪霊”というような伝承もある。またこの霊は人間に憑依し、動物を狩り、その一族を食べ尽くす。トルナイトの単数形トルナガクはキリスト教における「悪魔」の意味であり、「精神を殺す」という意味がある。