「強盗のおむこさん」『戻りなさい　乙女よ　この家では おぞましいことが起こる』

グリム童話収録。粉屋の美人娘が求婚された。相手は立派な身なりの紳士で父親は大喜びするが、娘はその男を見るたびにぞっとして求婚を受け入れない。紳士は娘を、森の中にある自分の家へ招待した。森の奥の家に行くまで、娘はエプロンのポケットに入れたえんどう豆を目印にまいておいた。やがて家に辿りついたが家の中には鳥かごに一羽の鳥がいるだけだった。鳥は「お帰り、若い花嫁さん。あなたの結婚相手は強盗」と歌い、娘は驚く。地下に降りていくとそこには老婆がいて、「やつは人喰い。もうすぐ帰ってくるから隠れていなさい、一緒に逃げよう」と言った。隠れていると、紳士が男たちと一人の若い女性を連れて帰ってきた。泣き叫ぶ女性を強盗たちは裸にむいて、食べてしまった。強盗が女の指から金の指輪を抜きとろうとした時に、切った指が娘のひざに落ちてしまうが、老婆がうまくごまかす。睡眠薬入りの酒で男たちを眠らせた老婆と娘は逃げ出して、えんどう豆の目印を頼りに家に帰りつき、父親に全てを話した。やがて婚礼の日がきて、娘は強盗に「自分が見た夢の話をする」と言って目撃した事件を語り、証拠に指輪がはまった指を差し出す。強盗は逃げようとしたが捕らわれ、仲間と一緒に死刑となった。